ご自分で会社を経営している方は「事業用ローン」を組んでお金を借りていることが多いです。
事業用ローンとは主に、
開業資金だったり、新しい設備を導入するための設備投資金だったり、当座の運転資金だったり、理由は様々ですが会社の運営をスムーズにしていくためにお金を借りることです。
ただし、銀行も無担保でお金を貸すことはまずありえませんので、ご自宅等の不動産を担保として提供することによりお金を借りられます。
住宅ローンのように低金利というわけではないですが、状況に応じた金利で、返済期間も20年程度を設定してくれたり、使用目的を問わず貸してくれたり等、うまく利用すれば事業を短期間で急成長させることができます。
しかし、今回のコロナウイルスの様に予想だにしない事態というのは得てして多々発生します。
例えば、このようなケースがあります。
今までずっと飲食店で雇われ店長をしていたAさん。
夢は「自分の店を持つこと」
今まで順調に店の売り上げを伸ばしてきて、おいしい料理を作ることはもちろん、人を雇って指導したり、材料費や人件費、家賃等のコスト面のマネジメントも同時にこなしてきて、自分に自信がついてきました。
独立したいという気持ちが日に日に強くなっていき、独立したいことをオーナーに相談しました。
すると、オーナーは残念そうにしながらも暖かく背中を押してくれ、顔なじみの常連さんもとても喜んでくれました。
3ヶ月後、いよいよ独立する運びとなりました。
新しいお店も借りることができ、お店の保証金、店内の設備、当初の運営資金として自宅を担保に事業用ローンで1,000万円を借りました。
お店の方はというと、オープンから連日の大盛況で、Aさんはてんやわんやしながらも、
とても充実した毎日を送っていました。
しかし、その幸せも長くは続きませんでした。
そう、新型コロナウイルスです。
みるみる客足は遠のき、売り上げがゼロの日も増えてきました。
国の補助金を申請しても支給は遅れ、支給されたとしても家賃や光熱費等の出費にとても追いつきそうにありません。
雇っていた従業員もやむを得ず解雇し、何とか生活していましたが、いよいよ家賃を払えなくなってきました。
そうなると、もちろんお店は退去・閉店しなければなりません。
残ったのは事業用ローン数百万円・・・。
職を失ったとともに、このままでは自宅も失うことになってしまう。
ローンを返せず、3回目の滞納をしてしまってから、銀行の督促状が届きました。
そこには「差し押さえ」「競売」という文字が。
Aさんはこのまま何もかもを無くしてしまったのでしょうか?
いえ、そうではありません。
確かに、ご自宅は売却しました。
しかし、今まで通り同じ家に住んでいます。
これは「任意売却」そして「リースバック」という方法で、危機を回避したケースです。
Aさんの場合、ご相談に来るタイミングがあと少し遅かったら、銀行から差し押さえをされていたので、本当に間一髪で難を逃れられました。
「明日は我が身」という言葉がありますが、本当にいつ何が起きるかわからないのが現状です。
私たちにできるのは、何かが起こってしまったときに、どう対処するか。そして、どう切り抜けるかです。
どうかパニックにならず、冷静に第三者にまずは相談してください。
解決の糸口がきっと見つかるはずです。